テオバルト・ベーム作曲グランド・ポロネーズ
4人のフルーティストのものを聴き比べた。
ウィリアム・ベネット
ウォルフガング・シュルツ
工藤重典
ラファエレ・トレヴィザニ
の4人のもの。
まず、ウィリアム・ベネットの「グランド・ポロネーズ」の他に錚々たるフルーティストが協演するCDアルバム
「Theobald Beohm」
ニコレ、グラフェナウアー、デボスト、ブルクハルト、ベネット、アドリアンがそれぞれ1曲づつ。
そして、全10曲のうち4曲は6人全員での合奏・・・う~ん贅沢・・・
余談ですがニコレは「シューベルトの主題によるファンタジー」を演奏しています。
それはともかく、ベネットのグランド・ポロネーズについて・・・
流石ベネット。
始まりからキレイな音色で前半は本当に素晴らしいと思います。
ただ、240小節あたり~245小節までの3連符の連続が少し荒っぽくなっているかなと言うのが率直な感想です。
で、ここまでが結構テンポが速いので、Prestoは少し速度を緩めて始まり、徐々にアクセルがかかるようなスタイルで演奏し、最後に向かいます。
荒っぽくなったのは、テンポが速すぎたからではないかなあ、と言う気がします・・・
それにしても、このグランド・ポロネーズは難曲ですねぇ。
録音されているのは1981年11月27日ミュンヘンにおけるライブ録音です。
このCDはAmazonでは検索できませんでしたので、ムラマツフルートのウエブサイトから確認してください。
(この時の題名にはグランド・ポロネーズ と中点がないと検索できません)
工藤重典
CDタイトルは「夢のあとに~フルート名曲集」(録音:2005年11月)
はちょっとクセのある演奏をしているので、純粋に勉強している人にはお勧めしません。
音色はフランス系のいつものキレイな音色です。
(特に75小節76小節のアルペッジオは聴いていると付点があるのではないか、と思えるような処理をしていて、これが後にも同じフレーズで繰り返されるので、妙に耳に残ってしまう)
ラファエレ・トレヴィザニ
CDのタイトルは「the virtuoso flute」(録音:2002年6月)
音色としては一番良い感じです。高音の伸びも非常にきれいで、聴いていて気持ちよさがあります。
ただ、スタッカートをワザとテヌートのように処理したり、テンポの揺れは4者の中で一番大きいので、好みは分かれるところでしょうか。
高音・低音と行ったり来たりのこの曲をしっかりと聴かせているところは推薦のポイント。
Amazonで買いましたが、カナダ発送だったので、家に送られてくるまでに10日ほどかかりました。
。
一番のお勧めはやはり、ウォルフガング・シュルツ
CDのタイトルは「Salon Music of the 19th Century」(録音:1991年5月)
全体的に譜面に忠実に演奏しています。だからと言って退屈ではなくむしろ4者の中で一番エネルギッシュとでも言いましょうか。ややもすると一生懸命すぎるようにも聴こえますが、それはそれとしてこの曲を勉強するにしても、単純に聴くだけにしても、一番のお手本となると思います。
ただし、音色は好みが分かれるところでしょうか。
なぜ、同じ曲を4名の演奏者で聴いたか、と言うと・・・
ムラマツの講師によるコンサート(09年1月)で、庄田奏美さんの「グランドポロネーズ」が私にとっては心が揺さぶられると言えば良いでしょうか、そんななんとも言えない素晴らしい演奏だったのです。
また、音色美しさ、音のつながり、そして一音一音が真珠のネックレスのように光っていた、そんな風に思います。
なので、そのような心を掻きむしられるような演奏を探したのですが・・・
庄田さんの演奏はライブでしたから、その会場の雰囲気も相まってのことなのかもしれません。それを録音に求めるのは無理がありました。
そんな訳で、CDを探して4枚を聴き比べました。
あ~、出費が・・・
少しでも参考になれば幸いです