高音域の処理(指と音質)
スメタナ作曲のモルダウ。
言うまでもなく名曲です。
しかしこのモルダウ、1stフルートがかなり厳しい局面を迎えるのです。
233小節〜234小節。
a3-gis3-fis3の連続。
エチュードよりも厳しいと私、個人的に思います。
問題は左手の薬指と小指。
私個人の話ですが、一番の問題点は
gis3-fis3
よりも
fis3からのgis3の指がもつれることが最近わかりました。
233小節目は
a3-gis3-fis3-gis3,fis3-eis3-fis3-gis,a3-gis3-fis3-gis3,fis3-eis3-fis3-gis
高音域が苦手ではない方
ある程度苦なく高音域(特にa3、g3など)が出るのであれば、指と音質を密接にして一音一音、隣り合った音を2つ取り出してできるようにしなければならない。
例で言うと
a3-gis3
をまずやってみて次に
gis3-fis3
をやってみる。
できるようになったら速さをアップして上記2つがそれぞれできるように訓練してみる。
せいぜい5分〜10分程度にとどめる。
体に力が入らないよう、唇や肩、腕、手、指に余計な力が入らないように注意しながら進める。
その日はそれ以上変な癖をつけないようにわざとやめる。
翌日は
a3-gis3-fis3
を練習してみる。
前日の音色と指の運動状態を脳にインプットするように繰り返し行う。
これもせいぜい10分でやめておく。
これを数日間繰り返してみる。
ある日はできても、できない日もあるはず。
高音域が苦手で指も回らない
この方は、問題山積で、ちょっと前の私自身の姿です。
指に気が行くと音が出ない。
音質に気が行くと指が回らない。
でもよく考えてみると、腹式で高音を出すことがわかればあとは指の問題だけに特化できます。
特に高音域の時口の開きが狭くなっているはずです。
前回の高音域のブログで自身を確認した方が良いと思います。
早いパッセージではなく、ゆっくりしたテンポの曲(練習曲)で高音域の出し方を脳に覚えさせる。
それができればしめたもの。
あとは233小節目をメトロノームでゆっくりと始めて徐々に早くする練習をすること。
ここは一朝一夕にはできない、と思います。
私の敬愛するヴァイオリニスト五島みどりさんは早いパッセージは非常にゆっくりと始めて徐々に速くする練習を毎日やっていらっしゃるようです。
一日に何時間練習するのかはわかりませんが、できる人が初心者のように練習するからこそスキのない、心を揺さぶる演奏ができるのだと思います。
結局、根気が必要
上で言った練習は「根気」が必要。
面倒くさくなったら終わりです。
ただ、それよりも何よりも自分で自分を分析すると言うことが何よりも一番大切なことです。
人間自分自身のことが一番客観的に見えない動物です。
できればスマホでも良いのでこの練習だけでも録画してみると良いと思います。
口が固くなって出す息が狭まっている、とかフルート本体が内向きになっている(角度の問題)とか、肩が硬いから腕、そして指まで硬くなっている、など。
それはそれは「1音出すのにどれだけ時間がかかるんだ!」
と思うくらいに自分自身を見つめ直すことが必要ではないかと思っています。
「私できるから」と思っている人は上達しません。
自分で自分の上限を決めているからです。
五島みどりさんも、マウリッツィオ・ポリーニさんも本当に地道な努力を重ねているからこそ聴衆に感動を与えられるのだと思います。
今回の結論
以下をよく確かめながら練習してみてください。
- 唇が高音を出そうとして締め付けたアンブシュアになっていないか
- 高音を出そうとして唇だけでコントロールしようとしていないか
- 歌口(本体も含めて)内向きに回転していないか
- お腹から息が出ているか(特に高音域で)
- Fisが出にくい時はお腹を使っていない
- Fisが出にくい時はエアーリードがフォーカスされていない
- 吹かずに本体を持つだけにして指の練習をすることを忘れていないか
- すぐに成果を出そうとしていないか(数ヶ月から1年はかかると認識すべし)