レッスンに通い始める前のこと。
当時細い息柱を作れば良いと思っていたのだが、それを変に思い込んで、そのうちに音が遠くに届かないような、と言うより小さな音しか出ないようになってしまいました。
根本的に間違っていると思ったのでレッスンに通い始めました。
細い息柱をエッジに当てると確かに音質的にはスカスカではない音は出ます。
しかし、遠くに届かない音など出ても何の意味もないことです。
早速レッスンでは、「唇の力を抜きましょう!」と言うことから始めました。
唇のみならず体、手、腕、顔、肩…
何から何まで硬直している状態でした。
さて、唇の力を抜く、そして歌口を外向きにする。
そうすると、スカスカの音になります。
自分なりに音質を作ってきたつもりなのですが、当たり前のことですが、全てを否定されます。
「こんなにスカスカの音質で本当に上手くなるのだろうか?」
「早く上手くなりたい!」
焦燥感、絶望感、しかし少しの将来への望みが入り混じりながらの再スタートとなりました。
一旦自分を否定しなければ音質を作り直すことは出来ません。
それにしてもスカスカな音はやる気を削ぐものでした。
自分を否定しなければと言いましたが、やっぱりそれまでの自分のやり方に戻ってきます。
当然のことながら体に染み付いた習慣から抜け出すのには5年以上かかります。
私の場合は8年間を要しました。
今はスカスカな音でも地道に先生の言うことをまずは実践するしか近道はありません。
ただ、先生の言うことをそのままではなく、何をしようとしているかを見極めながら進むべきかと思います。
音が鳴らなかった頃を振り返って
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